【対談】ルームクリップ× W ventures×Bonds Investment Group

BONDS

コロナ渦の今、革新を起こすベンチャーやスタートアップの登場が求められています。Bonds Investment Group(以下、BIG)が出資する「ルームクリップ(以下、ルームクリップ)」も既存の市場を打ち壊そうとしている革新的なスタートアップのひとつです。月間ユーザー数は600万人を突破し、D2Cクラウドサービス「RoomClipビジネス」を展開、更に住生活関連商品に特化した国内初となるソーシャルコマースとなる「RoomClipショッピング」をリリースするなど成長を続けて参りました。ここでは、成長を続ける同社の代表・髙重 正彦氏とBIGで同社を担当するパートナー・細野尚孝の対談を、W ventures株式会社の代表パートナー新 和博氏をモデレーターとしてお届けします!

▲写真左:W ventures 新氏、写真中央:ルームクリップ 高重氏、写真右:BIG 細野

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コロナ禍という状況を経営者として捉えているか

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新: まずは新型コロナの流行について伺っていきます。コロナ禍で人々の暮らしは一変しました。生活の変化でダメージを受けた人も多く、社会はとんでもない環境に直面しています。一方で、コロナによって人々の意識は家族や家の中に向きました。ルームクリップとしてはトラフィックもすごい伸び、ある意味追い風だともいえます。高重さんは起業家として、あるいはルームクリップの運営者として、今のこの環境をどう捉えていますか。

髙重:コロナ禍で家に関しては大きく2つのことが発生しました。1つ目は家にいる時間がすごく長くなったこと。そしてもう1つは家の外でしていたことができなくなり、家の中でやらなければならなくなったことです。家の中にいる時間が長くなると、以前は気にならなかった不便なことが気になって解消したくなります。もともとルームクリップは主婦の方など家に長い時間いる方たちがよく使ってくれていたのですが、多くの人がそれと同じ環境になったということです。さらに仕事や運動、娯楽などを家の中でしないといけなくなった。一番象徴的なのはリモートワークですね。こうした状況で、家の中について調べる必要が大きく増え、ルームクリップを使ってくださる方が昨年爆発的に増えました。

新:コロナをきっかけに念願の仕事用のデスクをルームクリップで検索し、購入しました。机ができるとコロナが落ち着いても多分リモートワークもある程度普及するし、自分の居場所としての、そこをもっと良くしていくとか、メンテナンスしていこうっていう気持ちはずっと残り続けると思います。

髙重:そうですね。新さんのようなユーザーさんがたくさんいるので、その期待に答えられるようにしていかないといけないと思っています。外食や旅行をしにくい状況になっている中で、人が人生を楽しんでいくためのお金の使い方として、家に改めて目を向けてもらえるようにすることが、日本経済全体にとっても大事だと思います。ルームクリップとしては家を楽しむということを長期的な文化に変えていくようなプラットフォームを作っていこうと思っています。住まいや暮らし関連の業界全体としても、ユーザーの変化に向き合い、ユーザーをサポートしながらビジネスをしていくことがすごく大事だと思います。

新:細野さんは、コロナの環境を投資家として、どう捉えてらっしゃいますか?

細野:僕らの定義で言うと、スタートアップは、イノベーションを起こす存在と感じていて、そのときにイノベーションの起こし方がコロナ渦で2つ発生してると、大きく感じてます。これまでの環境が大きく変わったので、それに対応する施策が必要になってくるのと。あと初期段階でよく言われたニューノーマル。新しい状態が生まれたときにそれに適合するための方法論を新しく生み出す人たち。その環境をうまく変えていく人たちと、新しい環境を構築していく人たちに分かれいて、割とDX文脈で言うと、前者の人たちが多くて、スタートアップもこの領域の人たちが多いなと。ただ、これから伸びていくスタートアップって後者の人たちだろうと思っていて、新しい価値観だったりとか、新しい振る舞い、新しいテクノロジー、こういったものを生かしながら社会を前進させるような人たちっていうのはすごく面白い存在になってくるんではないかと思っています。

新:という視点の中で高重さんはどう捉えてらっしゃいますか?

髙重:ルームクリップはその両方かなと思っています。環境の変化に対応するための存在であり、かつ新たな環境を作っていく存在です。新型コロナが流行する前から、僕らが目指してるところは、住まいという人々がたくさんの時間を過ごす場所の中に自分なりの何かしたいなをできるようにしていくということでした。様々な変化に対応しながら、これまでになかった「家を楽しむ文化をつくりましょう」がテーマです。

細野:日本全体としての文化をどう構築していくべきなのか、リデザインすべきなのかみたいな話を高重さんとしていて、割と歴史とか過去から紐解いて、未来はこうあるべきだっていうようなことを語られるので、新しく社会っていうのを再構築したいんだろうなっていうのはすごく感じていて、そこはすごい魅力的だなと。新しいプロダクトができて、新しい方法論が打ち出せたから、そこに一気に成長していきましょうねっていうのを勝手に期待しております。(笑)

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出資前と出資後

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新:髙重さんを細野さんに紹介させていただいたのが私なんですけど、髙重さんと面談したあとどうでしたか。出資後のサポートは、ある意味厳しいコメント含めて、細野さんはすごいしっかり言っていただいてたなっていう印象でした。疑いの目から始まったプロダクトが徐々に投稿数、アクティブユーザー、売上が上がり、喜んでたのですが、「そんなところで喜んでたら駄目でしょ」と結構厳しく細野さんが言ってくれ、ちゃんと引き締まったという印象がありました。細野さんとしては、投資前に期待してたことと、投資してから多分ギャップも多々あり、その辺をどう見ていたか、何を意識して髙重さんにいろんなコメント、アドバイスをされてましたか?

細野:ギャップは、事業運営者が集まっていて、事業を伸ばせば良い、ユーザーが伸びていれば大丈夫という印象でした。基本的にルームクリップが好きだっていうのが大前提にあって、それはポテンシャルあるし、そもそも考えている構想自体が素晴らしいので、せっかくいいものあるんだからそれを形にしないともったいないんじゃないっていうか。よくこれも話しするのが時間って人生限られてるじゃないですか。何十年もやるの?って、もう実現する前に死んじゃうよって、これいつ実現すんだろうって、早いほうがいいじゃんって。

新:実現したい世界に対して今どこまで来てるのかっていうと、どちらかというと多分まだまだ伸びしろが大きいと思うんですけれど、そこに向かってどういう風に取り組んでいこうと思ってるかっていう、その辺の意気込みなどをお願いします。

髙重:細野さんがおっしゃる通りで、「これは経営をしなきゃいけないな」っていうことです。「事業運営者」としてすごく頑張っていたんですが、違うレイヤーからアクションをしていかないと変わらないという考えに至りました。事業運営者のレイヤーでやっていても少しずつは改善するんですが、非連続には変えられないということを実感しました。この1年ですかね。ようやく自分の中ではリニューアルできたかなとは思っています。

新:その吹っ切れたきっかけって何かあったんですか?1年でマインドチェンジして、すごいなって思いましたけど、それは何でなんですか?

髙重:なんでこんなに伸びないのかという不愉快さをずっと抱えていました。2,3年前まではその不愉快さを何とかしようという気持ちが、自分が現場に行くという方向に向いていたんですが、それでは変わらないんだなと実感したんですね「これでは変わらない、俺がやり方を変えないとだめだ」っていう風に。割と時間がかかってしまいましたが、そう痛感したのです。

新:身近に成功していかれる起業家をたくさん見てらっしゃったと思うんですけど、多分いろんなタイプの起業家がいて、いろんな成功の仕方があって、細野さんから見て、髙重さんってどういうタイプの起業家ですか。

細野:大器晩成です。でも本当にこの1年、2年で変わったと思います。昔は本当に事業の話、プロダクトの話しか、していなかったのが、ファイナンスの話とか組織の話もちゃんとするようになってます。

新:組織のところで言うと、居心地のいい組織ができてるんだろうなっていうのを思ってて、これはいい意味でも、もしかするとネガティブな意味でも、というところなんですけど、要は退職者が多分ほとんどいないんですよね。

髙重:今があるのは、よくも悪くもチーム組成、会社作りをしっかりしてきたからかなという風に思っています。僕の視座が一歩進んでだなかで、このチーム・組織で「こんなことできるじゃん」というような新たなものが生まれたりっていうのが起きるのかなと思います。

新:何で独立したんでしたっけ?

髙重:僕は小さいころからの夢が革命家なんです。ざっくりとした話になってしまいますが、革命家になるためにどうしたらいいんだろうと考えたときにインターネットのプロダクトを作ろうというところに行き着きました。スタートアップとか起業とかを考える前に、もうそこなのかなと思っていました。

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ウィズコロナ・アフターコロナの時代

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新:日常の創造性を応援するというのは、ウィズコロナ・アフターコロナの時代にぴったりなテーマだと個人的に思っています。コロナ環境になり、より自分の身の回りの手の届く範囲のところを大事にしようとする風潮がすごい今見直されてる気がしていて、ある意味時代が追いついてきたなと思っています。

髙重:おっしゃるとおりですね。実はコロナ前の2019年末ごろから、生活者はいわゆる「映え」を重視する姿勢から、より地に足のついた自分の身の回りの生活を大事にする世界観に変化していました。ルームクリップでも「自分スタイル」「心地よさ」といったキーワードがすでに登場していたんです。こうした変化はウィズコロナでより加速していますが、まさに当社の「日常の創造性を応援する」というミッションそのものだと感じています。

新:キュレーションメディアが盛り上がった時代があったじゃないですか。ルームクリップとしての世間からの見られ方や、そういうものが1つフェーズが変わったんじゃないかと思いました。髙重さんから見て、一つ見える景色が変わったんじゃないかと思うんですけど、その辺どうですか?

髙重:住生活領域の業界の方たちはキュレーションメディアが流行っていた時代もルームクリップや僕たちが目指している価値をちゃんと理解してくれていたし、ユーザーさんも結構分かってはいたのではないかなという気がしています。実際僕としてもルームクリップは本質的なことをやっているはずだって思っていたので、他のキュレーションメディアについては別に気にしてなかったんですよ。彼らキュレーションメディアの先に住領域のプラットフォームという形はないって思っていました。キュレーションメディアのブームはその後下火になりましたが、別にそこでマインドチェンジがあったという感じはしないですね。ただ昨年にコロナが来て生活者の状況に大きな変化が起きた。これは確かにある意味追い風ですよね。

新:追い風が堪えきれてるかっていうのは細野さん感じてらっしゃいますか?

細野:今の話してて思い出しました。誠実な人だなって。誠実な人に投資をしようっていうのがポリシーなんで。変な風が吹いても別に右往左往しない、誠実さがあるなと急に思い出しました。

髙重:トレンドを追ってるというよりは普遍的なところをやろうと思ってるので、ある時間軸での成長を実現し続けるっていうのは、それがないと成立しないんですよね、企業って。もっとやって行かなきゃなとは思っています。当然もちろん投資受けてますし、それはないと成立しないのは分かってるし、それを受けたからには約束を守るというもちろん前提でやってます。

細野:新さんは、何を期待して投資されましたか。

新氏:ある意味、第一印象とのギャップ萌えみたいなのがあるかもしれないですね。ていうのも、誰が家の写真をそんなインターネットに公開するんだよと、あり得ないと思ったんですよね。全くその当時興味はなかったんですけど、そのあとに、髙重さんとお会いし、かなり伸びていて、僕の期待値でいうと、ゼロかむしろマイナスたったのに、その時点で髙重さんすごいと思ったんです。これは誰も真似できないと思いました。普通に考えたら誰もこんなサービスつくろうと思わないと僕の感覚だと思いました。ここまでつくれたというのは、その時点である意味価値だと思ったんですよね。絶対無理だろうと思った事業をちゃんと粘り強く頑張って成立させ、サービスとして伸ばしてるっていうのがすごいと思いました。

細野:今後の期待をぜひ教えてください。

新氏:今なくなったら業界が大騒ぎする、明日から生きていけないんですけどというくらいの必要不可欠な存在になってほしいなと思っています。1つ長く同じことを続けるってすごい大事だなと思っていて、レガシーの産業に対して、インターネットで新しいことをやってるプレイヤーとかも出てきて。最初は多分レガシーの産業の人たちって、何だこいつはって思ってると思うんですけど、長くその業界を大きくすることにちゃんと貢献する活動をしてるスタートアップに対しては、やっぱりだんだん認めてくれて、一緒にやっていこうっていう、そういう流れって絶対できると思うんで、そこにルームクリップはちゃんと乗れてると思います。もうその路線をちゃんと突っ切ってほしい。もう1つは、意思決定のための情報収集の場としての、ルームクリップは機能しているけれど、そのあとの情報収集してちゃんと行動まで落とす。これを平たく言うと、ショッピングとかのサービスがそうだと思うんですけど、しっかり情報収集して、その後行動に移すところまでできると、かなり大きなパイが取れると思うんで、やりきってほしいですね。以前のファイナンスは、ことごとく断られてたんですが、やっぱり何かが足りないんだろうなとか思いましたが、前回のファイナンスでは、調達を決めていたので、やはりフェーズは変わったなとは思いました。応援しなきゃいけない人だなっていうのは多分そういうことだったんですね。

細野:完璧だったら多分出資をしていないですね。

髙重:今後もっと伸ばししていきます!長くやらないと、伝わらないことすごいあるなと思いました。

一同:ありがとうございました。

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